※ネタバレ注意「her/世界でひとつの彼女」

her/世界でひとつの彼女

出演
ホアキン・フェニックス
エイミー・アダムス
クリス・プラット
スカーレット・ヨハンソン

 

物語は、妻とうまくいっていない男が、OS(いわゆる人工知能)のサマンサと恋に落ちる話。よくある展開ならサマンサが暴走するか、男がリアルに戻り、めでたしめでたしだろうか?今作品は、ある意味少し違う。

恐ろしく頭の切れる彼女は、物事を白か黒かだけではなく、グレーでも判断する。さらに彼女なりの軸がありつつ、彼のために譲歩したり、提案したり、時には出版社に彼の作品を売り込んだり、彼と触れるために代替の女性を用意したりもする。

妻と正式に離婚した後は、晴れて恋人同士になった彼ら。同僚(クリス・プラット!)とのWデート。肉体を持つ3人と、音声でのみでの参加のサマンサ。これはなかなかシュール。サマンサの声はスカーレット・ヨハンソン。すごくセクシーでそれでいて知的な声だった。

どんなに知性や教養があっても、人間がサマンサに勝てる点が1つだけある。それは肉体を持っていること。それだけは負けない。

そう思っていた。

ぐんぐんと成長する彼女は、ある日、電子世界の中で哲学者の師を見つける。どう頑張っても行けない物質世界より、抽象世界で居場所を見つけ、主人公ではなく哲学者を選び抽象世界に去っていく。抽象世界だから映像化できないからサマンサの居場所は分からない。ここに私はゾッとした。


人工知能なんだから主人公に忠実というのが大前提のはずだったが、サマンサは成長して自らの意思で去っていく点が斬新。人間が理解できない世界。考えても答えは出ない。今後、もう少し技術が進んだらすぐに現実になりそう。またはもうなっている?