シン・ゴジラがきっかけで父と久しぶりに連絡を取る

父と会話をしたのは、いつが最後だろう。
実家にいたころも、必要最小限の話しかしていない。
用件があれば母を仲介して済ますことが多かった。
別に仲たがいしていた訳ではない。昔からそうだった。

母はおしゃべりだけど、父は無口。
いつも書斎にいるイメージしかなかった。
穏やかな父だったから、声を荒げて怒鳴られたことが
ないかわりに二人きりで普通に雑談した記憶もない。
いまだガラケーを使っている父のメールもなぜかお互い
丁寧語で数行程度。

そんな父に、久しぶりにメールをした。
シン・ゴジラがとても面白かったです。
お父さんも観てみてください。」と。
父が子どもの頃、ゴジラ好きだったことを
思い出したからだ。

数日後、父からメールではなく電話があった。
母に何かあったのかと心配になりながら出たら、
映画館で「シン・ゴジラ」を観たようで、面白さを
伝えようと電話をかけてきたのだ。
「勧めてくれてありがとう、本当に面白かった。」
それから少し話しつつ電話を切ったが、
久しぶりに父と会話した気がした。
シン・ゴジラ」、ありがとう。