私がまだ「社畜」という言葉を知らなかった時。

会社のルール=私の生きる世界のルールだった。


朝9時出社、夜7時退勤のはずだが、
新人は1時間前に来て、先輩の机を拭く。30人くらい。
朝礼で、今日の予定を一人ひとり順番に大声で全社員に
分かるように伝える。昼ご飯は机で食べて、
食事中でも電話がなったら3コール以内に出る。


夜も自分の仕事が終わっても帰ってはいけない。
先輩の仕事を手伝う(雑用含む)
それが当たり前の世界だった。


それまではアルバイトや契約社員として働いていた。
正社員になったのは、その会社が初めてだったため、
絶対辞めたくなかった。会社のルールが常識であり、
守らないといけない。と強く思っていた。
若かったしw

そのうち仕事量も増えていき、終電徹夜が続いていった。
まさに下記の漫画のようだ。

まだ「ブラック企業」や「社畜」なんて言葉も知らず、
社会人は、大人は、こういうものなのだ。
頑張らなきゃ!と自分に言い聞かせて文字通り
馬車馬のように働いた。

そのうちに、顔中に吹き出物ができた。肌が綺麗が唯一の自慢だったのに。
何を食べても美味しいと思わなくなった。笑わなくなった。
たまの休日も寝るだけで、久しぶりに会う友人に心配された。
当時お付き合いしていた彼氏とも、デートするより
文字通り眠りたくてドタキャンした。などなど
さすがに同居していた家族が異変に気付き、話し合い、会社を辞めた。
たった2年弱だった。

あのまま居たら。または一人暮らしだったら死んでいたかもしれない。

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私が辞めたあと、ほどなくして会社は倒産したと聞いた。
たまに思い出す、あの異常な世界。
それが正しいと思って疑いもしなかった。


もうかなりの昔の話なのに、たまに思い出してしまう。
心の傷なのだろうか。

1つだけあの会社に居たことで感じることができたのが、
普通の毎日の素晴らしさ。
辞めた後はリハビリのように、買物したり旅行したり。
美味しいごはんを食べて生き返った。 
そう、あの時の私は生きながらにして地獄に居たのだ。